隣の彼女があほで愛おしい
今通っている職業訓練で、たまたま席が隣の4つ上の女の子。
とてもかわいい。
ギャルっぽい感じではないけれど、水商売してそうだなって第一印象で近寄りがたかったのだが、
たまたまご飯を一緒に食べたらとてもいい子で、ゆったりした口調で話す。
それ以来毎日一緒にご飯を食べていて、すごく仲良くなれた。
そして気づいた。
あんなに私が「暇だ、眠い、まだかよ、おせーよ」といらいらしているあの授業に、
全然追いつけていない人がすごく近くにいたことに。
私の通っている職業訓練は、簿記からワード、エクセルなどの事務経理科で、
一般的な職業訓練であり、障害者向けのものではない。
私が通う目的は「生活保護を受けずにお金をもらう方法」として、
市役所の支援員さんが「これなら、失業給付が延期されて受給できるから、
それまでに体調を整えたり昼夜逆転を直したりして、就業にも自信がつくでしょう」
と、勧めてくれたものだ。
専門学校が県から委託を受けて講義してくれるもので、
3ヶ月の座学+1ヶ月の職場実習の全4ヶ月。
受講始めて一ヶ月半がたち、今ちょうど日商簿記の試験を終え、折り返し地点だ。
もともとカリキュラムが、「11月の日商簿記3級には間に合わないでしょう」と
講師が豪語していて(前記事で述べたとおり、私はこの講師の見下した態度がすごく嫌いである)、
まあ確かに、1ヶ月半で週9時間~15時間程度しか簿記の授業はなく、
パソコンの授業の方が多い。
なので、講師の言い分としては「なので、日商は2月に受けるとして、全経簿記3級なら間に合うからそっちをとりあえず目標に」だそうだ。
その専門学校が会場になるわけだし、理にかなっているのはわかる。
が、授業の半分程度が終わった頃、全経の申し込みをするのに
「この程度だよ」と渡された過去問題で100点を取ってしまった私は
「あ、絶対これいらない。日商も確実に通りそう」
と早々に見切りをつけ、授業は流し聞きをしつつ自分の学習に励んだ。
(まあ結果としては「災難回」と呼ばれる、「合格予想率18,8%」という
神がかり的な難しい回にあたってしまい、合否が現時点では危ういのだが・・・)
そんな状況の中。
前述の隣の席の子は、いつも頭を抱えているのだ。
この講師も悪いし、カリキュラムも悪いのだが、
「できない子でもわかりやすく教える代わりに遅い」でもないし、
「できる子に合わせてめちゃくちゃ速い」でもなく、なんとも中途半端なもので、
「確かにわかりづらいだろうな」と感じる場面が多い。
でもさすがに全経は簡単だし、授業で配られたところしか出ないし、と、
最近まで声をかけるか、私は躊躇していたのだ。
でも彼女が気がかりで、「何点取れた?」と軽く聞くと、
「72点・・・(´・ω・`)」と、返された。
これはやばい、あと二日だぞ。
「どこがわからないの?」
と聞いたら、「ここ」と言った。
なるほど。
先ほど例の講師が解説中に
「これくらいの問題なら、わざわざバランスシートを書いて解くこともないでしょう」
と見下した態度で、説明を省いたところだった。
でも、よく問題を見ると、3問目に問われている箇所は4問目の値を使って出さなければいけないから、
ひっかけというか、少し解く順序の融通を効かせて解かなければいけない。
なので、まず4問目の値が出せていれば後は簡単だ。
私は「どこまでわかったの?」「どういう風に解いたの?」と聞くと、
「ここまではわかった。でも・・・」と、ゆったりした口調で、困った顔をしてうつむく。
そうなると、私は自分の中で「いかにヒントを上手に出すか大会」をスタートさせる。
「おちついて整理して考えようね。この(エ)はどこでしょう?」
と、私が書いたバランスシートと損益計算書の図を見せる。
「・・・・・・ここ?(´・ω・`)」
と、すごく自信なさそうに聞いてくる。
「はい正解(・∀・)」食い気味で私が答える。
期首は「今年のはじめ」だよ、期末は「今年の終わり」だよ、当期は「その間を計算した結果」だよ、などと出来るだけ噛み砕いて説明して、
「・・・ここまでは大丈夫?」と顔を上げて彼女を見ると、
必死な顔をしつつも、コクコクとうなずいた。
「じゃあ当期純資産はどこでしょう?」
と、もう一度促す。
彼女「・・・ここ!(`・ω・´)」
私「そうそう!できるじゃん!\(^o^)/」
15分くらいかけてその問題が終わると、
彼女はすごく満足そうに「できたー!!(`・ω・´)」と言って、
「先生よりわかりやすい!」と私を褒めてくれた。
教えること
講師たちを見ていてはがゆいのはこれだ。
・わからないと言っている子も、ちゃんと覚えている部分がある。
・インプットさせようと必死にこちらがたくさん言うよりも、
ヒントを出してあげて、
彼女がアウトプット出来るように道を作ってあげること。
・出来たら「出来るじゃん!」とか「やったね!」とか、声をかけてあげること。
本当の意味では、私は教えてはいないのだ。
ただ、できるだけ要領よくやる「方法」は覚えてもらいたいから、
私「桁よく見て!指さして!書いたら問題用紙にチェック入れてもう一回見て!」
彼女「あっ0ひとつ足りない!」とか、
私「3文字書いたらカンマ打つ!後から打たない!」
私「減価償却累計額とか長い単語は、
減価=価値が減った、償却=なくなる、累計額=そのまんま って、
区切って意味を考える!」とか、
そういった「方法論」を手ほどきしたにすぎない。
でも、こうした「道」を作ってあげれば、
明日引きこもって勉強する!と意気込んでいた彼女が、
「わからない・・・覚えられない・・・」と、
己を嘆かなくて済むのではないか。と。思う。
ささやかながら、彼女の健闘を祈っている。