大人になってもいえない傷を治すには
最近であったある人から質問された。
「なぜ引きこもりや鬱になったの?」と。
私は素直で明るいし、家族もいい人そうなのに、なぜ。と。
その人に対して私が出していた情報はこれ。
・父は教師で、お堅いまじめな人。
「この名前のこはみんな優秀だったから」という理由で私を名づけた人。
それを誇りに思って20数年生きてきたが、ある日
父と一緒にお酒を飲むと
「あれ、飲み屋のねーちゃんの名前なんだぞ、おまえまだそれ信じてたのか(笑)」
と、大人になって父のいい加減さを知る。
・姉は看護師で、さらにお堅いまじめな人。
母親を亡くした直後、
「母さん、家族で麻雀するの夢だったから」
と言い出して、家族のだれもが
「え、ねーちゃん麻雀なんて絶対やらないでしょ」と思っていたのを裏切り、大学で麻雀覚えてきて、
初めて家族4人で麻雀を介してコミュニケーション取れるようにした人。
・母は高校生の時に他界。
ゲームとたばこが好きな人で、ドラクエの7までしかやってないから
8以降は仏壇に供えてから私がやる。
こんなところだ。
そこで私も初めて知った。
この上記の情報を出すのは、大人になってから見た家族像だと。
でもよく見ると伏線がある。
家族4人で=名前を出していない人物がもう一人いる。
初めてコミュニケーション=それまでコミュニケーションとれていない
飲み屋のねーちゃん=父は母に対して不倫に近い行動をしている疑惑
本当の情報はこれだ。
・父
教師なのをいいことに、土日は部活指導しているので、家にいない。家庭は母任せ。
自分が絶対だと思っている。
人に話すことは得意だが、人の話を聞いたり興味を持ったりしない。
・兄
長男。父と母、ともに教師の元に生まれ、英才教育を施され、
それに耐えきれずドロップアウト。中卒。
ひきこもり、ヤンキーになり、父に反抗できない代わりに母姉私に暴力振るう。
・姉
長女。兄からの暴力で、ヒステリー気味。
父兄に反抗できないので、母私にヒステリーを飛ばした。
父の干渉も受けず、(もしくは、要領よく自分の人生設計するために自分を殺して父と良関係を築いているように見せて服従)
国立大学卒、看護師で、父の自慢になることで家族の呪縛からうまいこと逃げた。
・私
姉からも兄からも虐げられ、反抗期には母親が病気&死去。
しかも父親は、自分の考えは押し付けてくるのに、私の話は聞かない。
反抗できる相手はおらず、自分を虐げるしかなかった
ここまでは、あえて教えたくない情報だと自分で判断したうえで、
カモフラージュのために上記の情報を出していた。
この情報を出したところで、この幼いころの家族像を壊すことはできないし、
自分にとっても相手にとっても不快な気持ちになる。
けれど昨日話したその人は、「じゃあどうしたら君は幸せになれるのか」
を前提に置いたうえで、私の話をうまく整理できるように促してくれた。
・家族の話を使い分けていたのは、臭いものにふたをしていた。
・でもその中身は、
私が家族を尊敬していたり、少なからず愛情を抱いているにもかかわらず、
それが受け入れられない一方通行の状況から愛情に飢えており、
それ故、《自分の望みが人に受け入れられることはない≫という前提で人間関係を構築するようになった。
・だから、最初にだした情報のように、
「少しでも自分に関心を持ってもらえるように、面白い話や女の体という餌をまいて、
相手を誘惑する術を磨いた。」
・だから、それを受け入れてくれる人に対して、
「こんな自分を好きになってくれてうれしい。有難い。」
と感じる。それがたとえ体を求められるだけの関係だったとしても。
・だから、相手から質問を投げてくれるという行動そのものに対して、
「自分に関心を持ってくれている」という安心感を得られる。
自己肯定を自分ひとりですることは、
自分が持っている引き出しの中からでしか生むことはできない。
缶から缶へリサイクルしているのと状況は変わらない。
そこに何気ない行動や言葉が少し入るだけで、缶から車いすを産む。
受け入れられることが増えていって、
そうしたら自分の望みが出てきて。
それを叶えようと助けてくれる人が現れて。
そんな夢みたいなことがあったら、奇跡があったら、
何かかけがえのないものを代償にしなければいけない気がして、
なんだか素直に受け止められない。
缶は缶のままが幸せなのか。
車いすになるかわりに失うものは、果たしてなんだろう。